’苦手さがある子’ と園庭

~’苦手さがある子’ と園庭~

ここ数年間、都内の公立園さんで園内研究のサポートに関わらせて頂いています。

先日の研究会では、何かに対して苦手さがある子が園庭環境の中で育っていく様子が複数語られました。

私自身とても勉強になりましたので共有しますね。

それは例えば、他の子と距離ができやすいお子さんだったり、土や泥に触るのが感覚的心理的に嫌なお子さんなどです。
(こちらの園でだけでなく、発達の特性のあるお子さんの園庭での過ごし方についてご相談いただくこともあります。)

そうしたお子さんが、園庭環境、先生や他児との関わりの中で少しずつ変化していくのですね。

’苦手さがある子’が人や物事に親しんでいく上で大切なのは、
1)多様な物理的環境がある
2)じっくり、自分のペースで取り組める(時間や場所、見守る大人の視点など)
3)一回限りではなく、継続する中で
4)その子の思いを理解し働きかける保育者の存在
5)他者の存在

なのではないかと、子どもたちの様子について拝聴して思いました。

私もけっこう苦手さがある子どもでした。^^

1)多様な物理的環境がある

多様な環境があると、その子その子の興味関心に合わせて遊ぶことができます。

興味関心に合う環境の中で、同じような興味関心を持つ子が集まり、そこで関係をはぐくんで行きやすくなるようです。

例えば、虫が暮らしやすい草木や自然エリアがあると、虫好きの子が集まって来ます。

特に戸外には、生き物や五感をくすぐるものなど子どもが興味を持ちやすい環境、いろいろな人や物事との出会いがありますよね。^^

多様な環境は、感覚統合とも関係しているだろうと思います。
→参照:子どもにとって必要な “通ってみたく・やってみたくなる”環境,
 以前オンライン講師をしていただいた茂木厚子さんの書籍もおすすめです。「そうだったのか!子どもの行動 1・2巻」. 石神井・冒険遊びの会 発行

園庭の多様な環境については、こちらでご紹介しています。→ 園庭では、どのような育ちがある? 8 多様な環境を!

2)じっくり、自分のペースで取り組める(時間や場所、見守る大人の視点など)

物事や人との関係を深めていくペースや慣れていくペースは、人によってそれぞれですよね。子どもはより一層ペースの個人差があるように思います。

ですので、その子その子にあったペースで取り組めることで、無理なく、安心感や快の気持ちで進めていくことができるのだと思います。

3)一回限りではなく、継続する中

例えば泥を触るのが嫌なお子さんも、1回目では泥を触ること自体嫌がっていても、泥んこ遊びの機会を何度か重ねていく中で少しずつ少しずつ興味や安心感を膨らませ、楽しみ始められたそうです。

4)その子の思いを理解し働きかける保育者の存在

子どもが少しずつ関係を作ろうとしている時はそっと見守ったり、一歩踏み込みたいけれどできずにいる時は安心したり興味を持てるような言葉かけをしたり。

’苦手さがある子’ に限らず、保育者の関わり方は子ども一人一人にとって本当に大切だなぁと日々感じています。

1)多様な環境を創ったり、2)じっくり自分のペースでや3)継続できる状況が守られるのも、やはり保育者あってこそだと思います。^^

5)他児の存在

その子にとって、安心や面白さを伝えてくれたり、新しい物事と出会わせてくれたり。

両者での相互作用が生まれたり。

仲間の存在は本当に大きいなぁと思います。

日々子どもに向き合われている保育者の方や親御さんは、’苦手さがある’お子さんをどう支えていこうか、迷われることがあるかもしれません。 

そんな時は上の5つがお力になれれば幸いです。^^

園庭研究所 石田佳織

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