〜安全/危険と子ども、園庭、自然〜
先日は、愛知県の井上幼稚園さんで園庭と安全に関するオンライン研修をさせていただきました。
前半は石田からのお話。後半は先生方に小グループで自園で気になっている危険と今後の対応案について話し合っていただきました。
多くの園さんにとって、園庭と子どもについて考える時に、大人側に心配や葛藤が生まれやすいのが「安全/危険」に対する対応ではないかと思います。
園庭での安全/危険を考える時は、
1)取り除くべき「ハザード」なのか、子どもの学びにつながる「リスク」なのか?
ハザード=遊びの価値とは関係のないところで事故を発生させるおそれのある危険性。子どもが予測できず、どのように対処すれば良いか判断不可能な危険性。
リスク=遊びの楽しみの要素で冒険や挑戦の対象。子どもが危険を予測し、どのように対処すれば良いか判断可能な危険性。
<参考> 国土交通省(2014). 都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂第2版)

2)そのハザードやリスクは、「物的な要因」なのか、「人的な要因」なのか?
3)日頃の小さな「危ないかも?大丈夫かな?」(ヒヤリハット)を個人の中で留めず、仲間の先生や、できれば園全体で共有。
4)危険に対して、「何がどう危ないのか」細かく分析し、対策をうつ。
5)園庭など戸外で過ごす際は、何かあればさっと助けに行ける「立ち位置(スポット)」を考えて、大人が位置取る。
6)大人だけで安全/危険管理しようとせず、子ども自身が自分の安全/危険に対応していけるよう、日頃から子どもと「セーフティトーク(※)」を行う。(※)
<参考>NPO法人国際自然大学校「セーフティトーク」
「セーフティトーク」は自然体験活動などで事前対策として取り組まれています。
園庭など日常の保育においても、日頃から子どもと、起きたこと・危なかったこと・危ないと感じたことについて、子どもと先生とで話し合い、ルール等対策を考えていけると良いですね。
そして、安全/危険に対しては、先生お一人お一人にとっても、受容や対応力の範囲・感覚は異なります。
まずは、気になるところや起きたことを園全体で共有し、話し合いながら、園全体での方向性を考えていく。
合わせて、お一人お一人の心配な気持ちは押さえ込まず、“私メッセージ”で、「先生ちょっと心配だな…。大丈夫?」と伝えてみてくださいね。
「ダメ!」ではなく「私メッセージ」を大切に伝えていただくと、子どもも自分のやってみたい気持ちも、他の人の心配の気持ちも合わせて考えていけて、より良いかと思います。^^

園庭での安全/危険については、『園庭を豊かな育ちの場に』p.40-41(ひかりのくに,2019)でもご紹介しています。
その他、園庭や戸外での安全/危険について、これまでの記事。↓
・園庭や戸外環境での危険とガイドライン
・危険に対する概念規定:日本と国際規格
・危険を察知・対応する力を(危険性のある環境や活動が取り除かれてしまったら…)
・園庭遊具の安全点検
2025.2.10
園庭研究所 石田佳織
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これまでの園庭研ブログ記事(2012~2022)→ 心と体と学びとはぐくむ園庭づくり
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<書籍・ブックレット>
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東京大学Cedep「園庭・地域環境での保育/子どもの遊び観 研究プロジェクト」(Webページへリンク)

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